基盤技術
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「ヒト」ゲノムDNAの情報確保
ゲノムDNAの網羅的解析
たんぱく質の解析技術
基礎知識
 
     
  || 基礎知識
 
遺伝子の仕組み【1】
 
1.膨大な遺伝子情報
  人間の体には約60兆個の細胞があります。その一つ一つの細胞には核があり、その中にゲノムDNAが折りたたまれて存在しています。ゲノムDNAはA、T、G、Cという4種類の塩基を基本物質として長い鎖のようにつらなり、しかも必ず2本存在する鎖は美しい2重螺旋構造になっています。2重螺旋の中では、並列する2本の鎖を構成している塩基が、決まってAはTと、GはCとそれぞれ連結して対をなしています。この塩基の組み合わせや配列の部分部分が遺伝子情報を持つことが分かっています。この塩基対は約30億組とも40億組とも言われており、その情報量は非常に膨大であることが分かります。
  2.遺伝子情報はプログラム
 
実際に体内で生体機能として活動するのはたんぱく質です。たんぱく質はゲノムDNAの持つ遺伝子情報に基づいて、細胞内の核とは別の場所にあるリボゾームという場所で初めに原型が作られ、次に小胞体さらにゴルジ体という場所に次々移動しながら加工され完成されます。言わばゲノムDNAの持つ遺伝子情報はプログラムであり、そのプログラム通り動く役者がたんぱく質ということになります。
  3.たんぱく質が作られるまで
  遺伝子情報は核内のゲノムDNAの中に格納されており、しかも自ら核を抜け出してたんぱく質製造工場であるリボゾームまで動き回ることはできません。ではどうやってリボゾームまで遺伝子情報を伝達して役者であるたんぱく質を作るのでしょうか。それにはmRNAという運び屋を使います。まず核内でゲノムDNAの一部の配列情報(=遺伝子情報)をmRNAというDNAとよく似た構造の鎖にコピー(転写といいます)します。mRNAは周囲の他の物質のサポートを得て核に空いた小さな穴を抜け出しリボゾームへと移動します。そこでさらに他の物質の助けを借りてプログラム通りに決められた複数のアミノ酸を合体させることによりポリペプチド鎖が合成(翻訳といいます)され、小胞体→ゴルジ体を経てたんぱく質が作られます。このようなゲノムDNA→mRNA→たんぱく質という一連の生体反応を一般にセントラルドグマと呼び、分子生物学の中心原理と考えられています。一般にmRNAにコピーが行われたりたんぱく質が作られたりすることを「発現」と呼び、体内で活発な活動をする物質ほどこの発現の量が多いことが分かっています。
  遺伝子の仕組み【2】
  一般にセントラルドグマの各過程を、genome→transcriptome→proteomeと表現することがあります。
Genome・・・Gene(遺伝子)とome(全体の)を組み合わせた造語です。
Transcriptome・・・transcription(転写)とome(全体の)を組み合わせた造語です。
Proteome・・・protein(たんぱく質)とome(全体の)を組み合わせた造語です。
つまり、サイエンスの分野で「ゲノム(genome)を見る」と言えば、生体反応の最上流であるDNA・遺伝子情報に着目して研究を行うことで、「プロテオーム(proteome)解析」と言えばたんぱく質に着目して解析を行うことです。また、「発現」を見ると言えば、一般にmRNAの発現量を測定したりすることにより生体内の状態を掴もうとする研究のことを指す場合が多くあります。
 
  生命科学の研究では、DNAに注目した研究、mRNAに注目した研究、タンパク質に注目した研究など、 それぞれの目的に応じた手法で研究を行います。
  ゲノムDNAアレイ
  「ゲノム解析」と「発現解析」、ゲノムDNAアレイとマイクロアレイ、どう違う?
アレイを用いた解析のことを一般に「チップ解析」と呼んだりします。
ゲノムDNAアレイもマイクロアレイもともにチップを用いて解析しますが、見る対象が異なります。ゲノムDNAアレイは言葉通りゲノムDNAを見るのに対し、マイクロアレイはmRNAの発現を見ます。当社は独自のWhole genome DNA array技術を開発し、ゲノムDNAを見ています。
がん研究において、ゲノムDNAアレイは遺伝子の増幅や欠失といった異常そのものを把握するのに適しており、マイクロアレイは遺伝子の異常によって実際に生体内で起きている反応を把握するのに適しています。
  ゲノムDNAは臓器・組織に左右されること無く全ての細胞に同様に存在します。また、mRNAのように細胞が分裂する周期によって発現量が変わったりということがなくいつでも一定です。さらに壊れやすいmRNAと違い、化石のDNAがほとんど完全なまま保存されているほど強固な構造です。従ってゲノムDNAは解析対象として極めて安定的と言え、そこから得られる遺伝子情報はがんの創薬・診断への適用について信頼性の高い情報となります。
 
 
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